久しぶりの塗装職人としての現場です。
普段はネットからの問い合わせで雨漏りの調査や修理を
行っているのですが、職人として現場に出るのも悪くはない。(^^)
今回は、お寺の増築工事に伴い
新しく外壁を造作した上に漆喰の塗装で仕上げる工法です。
昔ながらで言えば、左官によるコテ塗りですが、
下地壁を左官で塗って1年、乾燥させて漆喰を仕上げるには
急を要するスペースの確保に間に合わず、漆喰塗装で外壁を仕上げる事になりました。
さらっと話をしてますが・・・
工事は一般の建築と比べて、気の使いどころが違い
妥協も不具合も許されない、シビアな品質を求められます。
理由として、お寺の工事はすべて檀家様の寄付によるもので
先祖への思いを代行する寺側としては、シビアにならざるを得ないようです。
例えば、屋根材として使われる銅板の板ですが、施工で隠れる裏側には
寄付された檀家様の名前が、ところせましと書かれており、その銅板の取り合いを
塗装するわけですから
「あっ、塗装が銅板に付いちゃった~!」
などの理由で、名前が消える事は許されるはずもない。
なので、当然と言えば当然ですが
2つのシビアなジャンル(雨漏り案件とお寺)をこなすには無理があり、
両立させる難しさから雨漏り案件に絞り込み、お寺の仕事を離れていました。
その後、仕事を請負た何人かの
塗装職人が色々な理由でクビになったとか・・・(苦笑
理由を聞いて
改めて工事依頼を頂いた時は「望まれて仕事が出来る幸せ!」
などと思ったのは請負前の話で、工事に入るとやはり とんでもなく大変。・・・
特に迷ったのが水性の漆喰塗料を塗る刷毛の選択、
汚さない様にビニールで養生をすれば問題が無いように思えますが
そもそも、昔ながらの素材を多く使う社寺ではテープの粘着で
剥がれてしまう装飾品が多くあり、極力使わない方が無難です。
かと言って先ほど話した様に汚してもシャレにならない。
以前、400年前に造られた
仏様の後ろの壁を塗りましたが装飾品や仏様が気になり、
真冬の作業なのに汗だく・・・さらに次の日は全身に身が入る苦い経験が・・・
この状況を解決するために今回は刷毛にこだわり
色々と試した結果一つの水性刷毛(好川産業)にたどり着く。(^^)
まだ名も無い試作品らしいですが、この刷毛、かなりイケてます。
今までに使った水性刷毛が玩具に感じるぐらい、しっくりくるので
いずれこの刷毛は職人の間で人気が出るでしょう。
おかげで
難なくこなせたし、クビにならずに済んだみたい。(笑
現場管理が京都での仕事をほのめかしていますが・・・そこはスルーして・・・
次は雨漏り案件で和歌山に向かいます。(^^)