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屋上防水

屋上・ベランダ防水の膨れ・剥離の修理と考え方

 

屋上・ベランダ防水の膨れ(通気緩衝工法)


防水にもウレタン・FRP・シート防水と種類が多くあり、
どの防水が良いかは既存防水や室外機・配管パイプなどの現場状況に
より判断します。

ただ、多くの雨漏り修理を経験し、学んだ事は、
シンダーコンクリート(床)内部の水分を床から外部に
逃がす仕組みが必要であり、防水層の剥離や膨らみを防止する事がベスト。
(陸屋根など面積の広い床)

出来るだけ分かりやすく説明すると、
床内部の水分が太陽光で熱せられると
外部に逃げようとする力が働きます。防水層が
昼間に熱せられて膨れ、夜には冷えて伸縮することを繰り返す
ことで、いずれ防水層が破断し、破断した箇所から雨水が浸入して
雨漏りをひき起こす可能性があるからです。

床の大きさ・下地の状態・形状の違いにより、
密着工法でも問題が無い案件はありますが、通気緩衝工法なら
膨れや破断のトラブルが少なく、防水層を長く持たせることが可能です。



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通気緩衝工法説明図

ただし、密着工法より
工程が増える事から、金額が高くなるデメリットがあり、
現場の状況とお客様の希望も含めた提案が必要になります。

 

通気緩衝工法の施工と工程

 

まず防水層の剥がれた部分を撤去し、
カチオンフィラー(モルタル系の密着素材)を塗布、

旧塗膜との縁を切ります。この作業によって、旧塗膜の干渉が抑えられ
塗布したカチオンフィラーと新設する防水層との密着力を上げる事ができます。

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カチオンフイラーの施工後
通気緩衝シート及び脱気筒の設置を行います。写真1の脱気筒は
水分を外部に排出する理想的な施工位置から少し外れていますが、
洗濯物など、屋上の利用頻度が高く、脱気筒に足がつまずき転倒の危険性を
避けるため安全な位置を優先しました。   

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写真1 赤矢印:脱気筒

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写真2:通気緩衝シート

次に、屋上の雨水を樋に逃がす改修ドレンを設置します。
もし、既存ドレン(排出口)が経年劣化すると、ドレンの傷んだ部分から雨水が漏れ出し
漏れた雨水が壁内部に滴下すると雨漏りが発生
する事になり、防水層を新設する上では
欠かすことのできない作業となります。

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上記写真2の
白いマットが床から水分を逃がす通気緩衝シートです。
最終的に水分は筒状の脱気塔(写真1:赤矢印)を抜けて、外に逃げる仕組みです。

ここまでが新たに作る防水層の下地処理になります。

1.防水層の剥がれた部分を撤去
2.カチオンフィラー(モルタル系の密着素材)を塗布
3.プライマーを塗布
4.ドレン設置
5.通気シートの設置

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写真:ガラスマット施工

ガラスマットの上にFRP防水の樹脂を流し込みます。
建物の動きから網目状のガラスマットが防水層の破断を防ぐ効果があると
共に防水層の膜厚を一定以上、均一にする役目もはたしているといえるでしょう。

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写真3:ガラスマットにFRP防水を塗布

写真3の半透明の状態で防水機能としは完成ですが、
樹脂は防水機能に特化しているため、紫外線に弱く
太陽光にさらされると、防水層の劣化が一挙に進んでしまう
事から、着色と保護を目的としてトップコート(グレー)を塗布します。

壁と防水の取り合いは
端末金物で防水を押さえこみ、防水層と
下地の間に雨水が回らない様に押さえ金物で処理します。

笠木がある場合は、笠木を外し写真4の赤矢印の位置(天端)まで
防水を施工した上で、元通り笠木を復旧する事から、押さえ金物は使用しません。
(笠木の雨仕舞については、後で詳しく説明します!)

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写真4 赤矢印:押さえ金物

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写真5 トップコート施工

6.ガラスマット
7.防水樹脂
8.トップコート
9.防水層の見切りに端末金物を固定

9工程で完了です。
床の上に、単純にプライマー・防水・トップコートの
3工程で済ませるものから通気緩衝工法の様に9工程まで工事内容は様々です。

新築工事では建物のコストの兼ね合いから
通気緩衝シートを採用している事は少ないと思いますが、工程を踏み、
丁寧に収めた工事をおこなうと、先々のメンテナンス費用は格段と下がります。

屋根と同様に、
夏の暑い日差し・冬の冷たい雨・雪などにさらされる
屋上やベランダの過酷な環境は壁面の1.5倍の劣化が進むといわれ、
防水層の9工程が・・・けして、やりすぎという施工工程ではありません。

 

防水下地が極端に悪い場合

10年以上雨漏りに悩まされ、私に問い合わせがありました。
調査の結果、問題があったのは壁だったのですが、私以前の業者さんは
屋上の防水に原因があると考え、過去、2回の屋上防水工事を行ったとのことです。

結果として
雨漏りが止まらない事はもちろん、
壁の浸入口より雨水の供給を床も受けていたのでしょう。

屋上防水層の膨れが広範囲に広がり、
このままで良いのかという事も含めて、相談を頂きました。
(10年以上悩まされた雨漏りは止まりは修理積み)

問題は、床に防水の通気工法を施工しても
ここまでくると、同じように広い範囲で膨れてくる可能性が高い
事から、床に耐水ベニヤを新たに施工して、既存防水層の影響を減らしました。

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普段、大工さんは内装が多いせいか、
日差しの強い屋上で仕事をすると、「さかもっちゃん、暑いやん~~」と
・・・そらもう、呪文の様に唱えるので、・・・気を使います。・・・(^^:) 

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ここまでの下地をこしらえてから、FRP防水を施工します。
あるていどの条件はありますが、下地が新設であれば密着工法でも問題はありません。

ただし、コンパネ下地に動きがある事を
考慮して、ガラスマット(白色)を2重張りにしています。

基本的に防水の良し悪しは、膜厚の違いが大きく、つぎに、
しっかりと密着できる下地の上に施工される事が望ましいのです。

既存の納まりの変更

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赤矢印の位置は防水の立ち上がりが
壁より外に出ている事から立ち上がりの天端で
雨水を受ける状態になっていました。これではいずれ、防水立ち上がりの
天端から雨水の浸入を許すことになるので、立ち上がりの天端に水切りを設置

青矢印の笠木は
防水のみの施工になっていたので
屋根下地のルーフィング(2次防水)施工後、
ガルバリュウム鋼板による笠木を取り付け補強しました。

経験上、まったく同じ納まりの建物はなく、
このように、建物の状況と不具合に応じて施工仕様を変更する必要があります。

 

脱気盤でなく脱気筒を施工する理由と注意点

脱気筒と同じように床の水分を逃がす脱気盤というものがあります。
脱気筒の様に筒が突出していない事から、足がつまずく危険性は低いのですが、
床からの高さが数センチ程度しかなく、降雨量が多いと床に溜まった雨水(プール状態)が
脱気盤の水分出口より逆流し、通気緩衝シート内部に流下、さらに、シンダーコンクリート
内部に雨水が到達すると雨漏りを引き起こす可能性がある事から、弊社では使用を控えています。

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ただし
誤解が無いように説明すると、
脱気盤そのものの品質には問題はありません。
ドレンに落ち葉・ゴミ等の影響で排出が悪くなっている事がない限り、
床に溜まる雨水がベランダや屋上でプール状態になる事は、あまり考えにくい現象です。

ただ、昨今のゲリラ豪雨など
以前とは気象の環境が変わり始めている事から、
信じられない降雨量を想定すると脱気筒の方が安全であるという結論です。

なので、現状で脱気盤が設置されている場合は少し面倒ですが、
ドレン(排出口)のゴミ等の詰まりは、マメに掃除をする事が望ましいと考えられます。

 

笠木内部の雨仕舞と必要性

 

雨漏りが屋上から発生した事で
以前から付き合いのある建設会社に屋上の防水工事をオーナー様が
依頼したようですが、防水施工後も雨漏りは止まらず、私に問い合わせがありました。

確認すると笠木の腐食により
雨水の浸入口となっていた事が確認されました。

オーナー様と建設会社の防水施工についての
取り決め過程は分かりませんが、雨漏りが発生し、屋上防水を
改修する場合は、笠木部分まで防水を施工する必要性が高いと考えられます。

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笠木を取り外すと
笠木下地の天端に雨水が回り込んだ濡れ色のシミ跡が確認出来ます。

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笠木下地に新しく防水を施工します。
今回は下地の形状が悪い事から、シート防水による
施工
で、笠木天端を巻き込む様に処理をしていきます。

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赤の矢印:防水テープ

笠木の高さを調整するために胴縁(木材)を使います。
この時、ビスをシート防水に貫通させる部位には防水テープにより
ビスを巻き込み、ビス穴を埋める(塞ぐ)状態であり、万が一、笠木内部に
雨水が回り込んでも、ビス穴から雨水が部屋内に浸入する事を防ぐ配慮が必要です。

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その後、笠木の復旧の段階で
ビスが笠木天端に穴を開けない様に施工します。
夏の日差しや降雨の条件下では屋根と同等に位置するので
2次防水の概念を取り入れて、笠木を扱うようにする事が肝心です。

 

笠木に手すりがある場合の防水施工

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手すりの根元が
既存防水の立ち上がりに、飲み込む様に施工されている場合、
手すりの根元に穴を開けて防水材を注入し、手すり内部の防水性を高めます。

将来的に
手すりが錆びて穴が開き、手すり内部に雨水が回っても、
ある程度は安心ですが、そうなる前に、鉄部塗装のメンテナンスを
DIY(自分で作る事・日曜大工)などで施し、手すりに錆が来ない様にすることが望ましい。

まとめ

 

原因を目視で確認して
「プロだから見ればわかりますよね?」、お客様からよくいわれます。

確かに ある程度の検討はつくものの
ただ、似ているようで今までの経験と、全てが同じ経路をたどる訳ではありません。

雨漏りを人で例えるなら、
腕と足があり、頭があって、口から物を食べて下から出す・・・失礼!!・・・(笑

ようするに、人としての特徴は同じでも
顔や性格まで全て同じ人が存在しない様に、雨漏りにも個性があるのです。

なので、基本的な修理の話をしましたが
現実は、通り一遍の付き合い方では上手くいきません。
調査をして、問題のある部分を検証し、修理に伴い撤去・現状の変更を施して納まります。

 

調査と修理の分離発注のリスク

 

あまり、
人の事をどうのこうのという話は好きではありませんが、
ご相談が多いので、調査と修理の分離発注のリスクについてお話しします。

最近、調査専門の会社があるとの事ですが、私の見解は
修理が出来ないのに、なぜ、調査が出来るのか不思議に感じます。

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そもそも、
修理をするために調査が必要であり、
「ここの穴から入ったので、ふさいでください。」などという単純な指示では不十分です。

建物の納まりの不具合を
確認する為に検証が必要になるので
浸入口を見つけるだけでは、修理範囲を正確に確定できません。

また、
調査と修理を分離発注したリスクとして、
修理をしても雨漏りが止まらない場合は、修理業者は
「言われたとうりにした。」と主張するし、調査会社は「修理の仕方が悪いのだ。」と、なります。

結局、
双方の言い分にお客様が困ってしまうので、
窓口を同じにして 、責任を持って工事に挑んでもらう事がベストです。

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