雨漏りが発生すると、原因は何か?費用がどのくらいかかる?修理をして本当に止まるのか?家はだいじょうぶ?などの不安がよぎると思います。更に、専門性が高いため建築会社や工務店は工事を避ける傾向があり、仕方なくインターネットで調べ初めて会う人に工事を依頼すので不安いっぱい。
と、いったところでしょうか・・・
先日、お客様から、業者を選ぶ(ネット)まで大変な労力を使って連絡をすると聞きました。
私を多くのサイトの中から選んだ理由は「かっこよかったから!!」・・・
てぇ、冗談です。・・・<(_ _)>・・・
ブログ内容を見て雨漏りに携わっている数が明らかに多い事から「経験豊富だろう」と感じたようです。空き時間を使って、半年ほど情報を集めていたとか・・・そう考えると出来るだけ期待に応えたいものです。
初めて雨漏りに遭遇すると「思わぬ出費・・・安く抑えたい!」との考えから料金オンリーの傾向になりがちですが、「雨漏りが止まらない!」など安くても結果が出なければ意味がありません。では、実際にどのような事を注意し発注の決断と解決をするか、私なりの見解ですが順を追ってお話します。
目次
雨漏りが起きた時に自分でできること
まず、雨漏りを確認したときは、出来るだけ慌てず壁や床を濡らさないようにしなければなりません。天井であればバケツ等が有効に思えますが、サッシ額縁下端にはバケツを置くスペースがない事からペットボトルをハサミで輪切りにし、切り抜いた容器の中にハンカチを置いて滴下する雨水が跳ねないように設置します。
このように被害の拡大を防いだ後、1.風向き 2.降雨量(ぽつぽつ振っている時か大雨か程度) 3.頻度(今までに何度もれたか?)など確認していただければ雨漏り調査の参考になります。
DIYで孔(穴)やひび割れを埋めるという発想は危険
シーリング(コーキング)等で疑わしい箇所を自分で補修(DIY)する事で雨漏りが止まる事もありますが、基本的に二次防水を突破して室内に雨水が浸入する事から、外皮の一次防水をシーリングしても根本的な解決には至らず、実は、状況を悪化させるケースもあります。
例えば、これは私が修理をおこなった現場ですが、当初、雨漏りが発生した事でお客様が「パラペットをシーリングで補修を行った」との事でしたが、数年後に同じ位置から雨漏りが発生しました。この事で調査を行ったところ、浸出口直上のパラペット(立ち上がり)の外皮を外すと壁の合板、さらに躯体である横架材(おうかざい)まで腐朽が進行していました。(写真1参考)
もし、初期の段階で不具合を修理していたら横架材(構造材)まで被害が広がる事は無かったはずです。ただ、誤解が無い様に補足をすると、すべての補修や応急措置が失敗するというわけではありませんが、DIYで応急処置等を行う場合のリスクも知った上で施工に臨むことが大切です。私の経験からお話しすると、せめて原因を確認した上で雨水浸入口の軽減措置等を検討する必要があります。
では、次に具体的に雨漏り不具合箇所をどのように弊社が修理していくかを事例を挙げながら説明していきたいと思います。
事例1 笠木と斜壁(しゃへき)からの雨漏り
建物は築40年は経つ東大阪市N様の雨漏り修理。浸出していた2F和室天井に点検口を作り内部を確認すると、天井裏になぜかブロックが置かれていた・・・どう考えても意味不明。


何かの拍子に天井を突き破って落ちてくる危険性もあり、危ないので取りあえず撤去してから修理をすることにしました。
天井に合板(下地)を施工して和室天井模様のクロス(張り紙)を貼って室内は完了。
注意:一般的に天井材(木目)はプリント合板を使用している事から直接クロスを貼ると天井材とクロスの密着が悪く剥離する可能性が高いのでクロス下地(合板)が必要。
陸屋根と斜壁の棟瓦の間は空洞で、納まりの悪い水切り・瓦・土を撤去して、天端に木材で防水下地を施工。
写真:ガルバリウム鋼板施工
その上にFRP防水を施して斜壁の既存瓦を撤去し、瓦より軽い素材のガルバリウム鋼板に葺き替えました。また既存瓦の下地には二次防水が無かったので今回はルーフィング(二次防水)を施工して防水性を高めました。
ガルバリウム鋼板(斜壁)のルーフィングを陸屋根側の天端に巻き込み、鞍掛をすると笠木を取りつけると、弱点となった瓦部ももスッキリとおさまる。これで問題は無しと言いたいところだが、そうはいかない。
西側に隣と外壁を共有している部位があり、この部位を納めるには隣の外壁(トタン)を外して施工する必要があるが、築40年以上は 経つ隣の壁を外すと何が起こるかわからない。最悪、復旧できなくなる可能性、また、西面で隣の家から雨漏りが起きると私が「壁を外して施工した事が原因ではないか?」と考える可能性すらある。
今回の雨漏りは西側の取り合いとは逆方向の東側和室天井の浸出であり、お客様にリスクを伝えて隣の壁は外さず、瓦一枚分は既存のまま残す事になった。とはいうものの、既存の棟瓦より雨が若干でも浸入している可能性は否定できず、西側取り合い棟瓦を外し防水テープと板金で補強だけはする事にした。
取り合いの瓦の内側にある捨て水切りは生きていたので瓦を戻して漆喰を施し、まずは問題が 無い状態に。
正直、スッキリとした納まりではないが、お客様と近隣のトラブル原因になる事は避けた方が良いと思う。
事例2 雨漏りの応急処置のリスクを考える
東大阪で雨漏りの原因調査に基づいて修理を行う事になりました。今回は、手すりの下にある笠木・ベランダ防水の不具合・内樋(壁の内側に樋を施工し雨水を排出)を設けている事が原因、特に内樋は排出の許容範囲を越えると室内に雨水が回り込む厄介な構造です。
修理の提案は、手すりを撤去した上で壁を立ち上げ、立ち上げた壁からパラペットと内樋を塞ぐように屋根を施工し水の浸入(内樋に)を阻止する作戦。簡単ではありますが、①が現状の断面図で②が修理後の断面図になります。
① 修理前断面図(現状の断面図)
② 修理後断面図
10年近くシーリング(コーキング)による応急処置で雨漏りが止まらなかった事から、「根本的な解決が必要」という弊社の提案にA様も理解していただきました。ただ、長い年数の経過から躯体の損傷が気になり、天井裏の確認を取りますが雨漏りが怖い所は実際に解体をしてみなければ内部の状況が解ら無いことです。むろん、多少のリスクがある事はA様にも事前に伝えていましたが・・・
工事が始まり、実際に笠木を外したところ、雨漏りとは反対側に位置する梁がシロアリに食われて無い事が判明、しかも垂木も無い、ようするにバルコニーの床は落とし穴状態にあり、いつ崩れてもおかしくない。A様は中古で家を購入したことから推察すると、以前のオーナーがシロアリの発生後に駆除だけして、家を売った可能性が考えられる。
さらに、雨漏りの腐朽(ふきゅう)もかなり進行していた。この状況は雨漏り修理どころでは無く、根本的に躯体の補強工事の必要がある。当然、現在の見積もりは雨漏りを治すものであり、躯体の修繕費は入っていない。「まさかここまでひどいとは・・・」大幅な追加費用が発生することは間違いなく・・・「あまりにもA様に話しにくい・・・」
かといって、このまま修理を続行するには、壁・屋根を新しく作る重量に耐えれるとは考えられない。もし、A様に追加予算が無く苦渋の選択幅があるとしたら現在の予算内で簡単な軽減措置をとるか、もしくは、元の状態に復旧し、工事を解約するしかない。どちらにしても雨漏りの解決には繋がらない・・・などと考え、予想外の状況に その場で5分間ほど放心状態に陥る。・・・(笑)心苦しいがとにかく今の状況と危険性を包み隠さず伝えました。
結果的に、ご理解を頂き追加工事を進める事になりましたが間違いなく今年一番、神経をすり減らす工事になりました。
Before
お引渡しの日、A様に「飲んでいくか?」と勧められましたが、車なのでお断りしました。どこかでお会いする事があれば、おごってください。(^^)
事例3 防水(バルコニーからの雨漏り)
堺市H様のお宅(築30年)を訪ね、話したところ浸入口、また、バルコニー(ベランダ)防水の修理方法も明確に指摘され、発注までの最短記録、15分程。驚くほどの判断の速さに素朴な疑問を感じ職業を訪ねてみると、ゼネコンの設計部門、色々な業者のホームページを読んで私の記事が正確に詳しく説明がされていたようで「問い合わせの時には ある程度決めていた」とのこと。宣伝的な表現はなるべく避け、自身の出来事や解決事例をコツコツ積み上げてきたので、このように告げられると、「ジ~ン」とくるというか、独自路線で頑張ってきたことが報われたようで とても嬉しかったです。
写真1
写真2
さて、工事はバルコニーをFRP防水で塗布する仕様ですがその前に既存防水の剥離部(写真1)を撤去します。撤去後この上から防水を直接施工する事は、無くカチオンフィラー(写真2)で密着性を上げること、また剥離部分を切り取った凹凸部分を平滑にするための意味で下地調整を施します。
その上にガラスマットを施工して防水層を形成します。
写真3
写真3の赤の矢印の位置は防水層のエンド(終わりの位置)
ここが経年劣化をすると防水の先端が浮いてきます。
これを抑える為に、エンドの位置をシルバーのアングルで固定します。
手すりの根元にも防水材を注入して一工夫、他にも長く持つようにポイントの施工を重ねていきます。
参考動画:バルコニー(ベランダ)手すりの雨漏り原因
雨漏り修理に携わる者として
私は雨漏り110番という組織に加盟していますが、お客様に「加盟する事で、どれだけ仕事につながるの?」と尋ねられる事がありますが、正直なところ営業ツールとして使える組織でも本部から仕事が入ってくる有効な仕組みはありません。
では、なぜ加盟しているのかというと、加盟店のメリッ
時々、関西方面で加盟希望の面接を私がする事がありますが、「わが社はリフォームを手掛けてきて雨漏りを何度も止めてきた!」などと自負される方がいますが、実はこの自信が曲者で100件の雨漏りのうち、難解で止まらない1件の雨漏りを止めるからプロであり、失礼ながら、加盟希望の方が止めてきた雨漏りは難解な1件の雨漏りで無かった可能性が高い。
けして頑張ってきた企業活動を否定しているわけではありませんが、たぶん・・・現状の認識で加盟しても本人が苦労するだろうと容易に想像ができ、リスクと雨漏りに関わる覚悟のほどを問いかけてみると、残念ながら大半がホームページの集客やキャチフレーズを求めての話しであり、難解な雨漏りも止める覚悟とは、かなり かけ離れたものと感じられます。
雨漏り調査・修理が難しいケース
1.事例1の連棟の家で、隣のトタン壁を撤去しなければ修理が出来ない場合
2.梁・柱など、大掛かりな交換が必要な場合
3.隣接する建物の間に余裕が無く、仮設足場の設置が困難な場合
以上は、残念ながら工事を望まれても修理を出来ない場合があり、それに伴う調査も難しいケースがあります。
まとめ
子供の教育費・老後の貯蓄、色々あるとは思いますが、腐朽(ふきゅう)が進む前に修理を行うことがベストです。あまりお勧めは出来ませんが先延ばしということであれば、せめて雨漏り調査を実施し原因確認後に軽減措置施を施す必要があります。間違っても放置しないこと。雨漏り修理の話は これで終わりますが少しはお役に立てたでしょうか? 先ずは専門の工事会社に相談をしてみてください。もし、工事会社について迷われる方は下記の記事に解説しているので、興味があれば ご確認ください。