お問い合わせや紹介から
色々なご相談を受けますが、その中でも
特に多いサッシの雨漏りについて お話しをします。

強い風・台風や方位によりサッシから雨漏りが確認される事例や
高層(マンション)になれば水密性が高いサッシを仕様しますが、どういう
手違いか、低層用を使用して雨漏りが発生したなど、事例を挙げればきりがありません。

DIY(自分で対処・対策)でサッシレール上部
ネジを締めてみたら数年間は雨漏りが止まったが、
最近になって再発し、以前と比べ物にならないほど ひどくなった。

などなど、

内容は様々ですが、聞いていると ある程度の
基本的な知識があれば、大きな失敗は避けれるように思います。

そのような事から
サッシに関わる修理について、雨漏り診断士としての見解を述べてみます。

原因調査

サッシ廻りはもちろんですが
実はサッシ枠からも漏れるケースがあり、
この2つ(サッシ廻りと枠)に分けてお話しを進めていきたいと
思いますが、その前に原因を散水調査により明らかにする必要があります。
(散水調査:疑わしい場所に水をかけて特定する)

何が原因で どう修理すれば良いかを
検証していくのですが、実はこの作業は簡単ではありません。

一般的に
散水調査を行うことは建設業界で広く知れ渡っており、見よう見まねで
調査を行なう事もあるようですが、検証内容はプロと比較して大きな違いがでます。

一例ですが、

浸出(雨漏り)を再現させたが、実は他にも入り口があり
試験水が流下した位置が本当の浸入口であったなど、誤診の原因は様々、
ようするに、にわか仕込みの調査では雨漏りを止める検証は容易ではありません。

特に、サッシ枠が原因で漏れるケースは
入り口を間違いやすい部位になる事から慎重な調査が必要です。

二次防水とサッシの取り付け方法

二次防水

本題の内容を理解しやすいように画像を交えて
専門用語や防水の仕組みを整理していきたいと思います。

透湿防水シート

上の写真は壁のコンパネ板(耐力壁)の上に
二次防水(透湿防水シート)を張っている写真です。

ちなみに二次防水という用語が出てきましたが、表面の壁材を
一次防水と考えた場合、壁内部にある透湿防水シートを二次防水といいます。

一次防水内部に雨水が浸入しても二次防水で
雨水を外部に排出し室内に浸入させない仕組み雨仕舞といいます。

胴縁の施工

二次防水の上に胴縁(木)を設置し、
さらに胴縁の上にサイディング壁(一時防水)を
施工する事で、一次防水と二次防水の間に隙間を作ります。

サイディング壁の内部構造
サイディング壁の内部図面         写真:実際のサイディング壁の内部構造

この隙間を通気工法と呼び
表面のシーリング(コーキング)が破断しても
二次防水(防水紙)の表面を雨水が流下し、外部に排出される仕組みです。

壁に開口がなければ雨漏りリスクは減りますが、生活をする上で
開口(窓)が無ければ明かりも取れず、室内の空気循環もありません。

なので、壁に開口を設けサッシを取り付けますが、
当然、サッシ(開口)から雨水が浸入しない仕組みが必要になります。

サッシ取り付け方法

2014_0317_094600-DSC03711                       

サッシ取り付けは耐力壁(コンパネ板)の開口部に
設置し、サッシフィン(ツバ部分)に防水テープ(黒色テープ)、
さらに、防水シートをサッシ土台に施工していきます。(赤の矢印)

ブルーの矢印方向(上から下)に水が流れても
サッシ下端から雨水が室内にもぐりこまない仕組みを
施してから、二次防水(透湿防水シート)を施工ます。

 

注意

ただし、この方法を取るにも条件があり、すべてのサッシ入れ替えに施し
ません。ここでは話がややこしくなるので防水シートを施工しない話は別の機会に。

2014_0318_082950-DSC03729

今までの話が
サイディング壁の窓廻りの防水施工方法です。

モルタル壁

次に
モルタル壁(左官仕上げ)について簡単に説明します。

最近はモルタル壁にも通気層を設けようと
していますが、一般的にモルタル壁には通気層はありません

壁内部構造は、二次防水のフェルト(防水紙)の上に
メタルラスを張り一次防水になるモルタルを施工する湿式工法です。

 

なので、モルタルのひび割れから浸入した雨水はモルタルと
防水紙の間を滞留しやすくなり、サイディング壁より雨漏りしやすい構造といえます。

また、
鉄筋コンクリートは二次防水の概念が無い仕様になり、
サイディングやモルタルとはサッシの納まりは異なります。

用語

湿式工法とは:現場で水を混ぜながら作った
       モルタルや土壁の材料を施工する工法

乾式工法とは:サイディングパなど工場で
       生産されたパネルや合板を現場で施工する工法

サッシ廻りとサッシ枠の不具合

1.サッシ廻りの防水テープの不具合

サッシ廻りの
二次防水や防水テープの施工不良・劣化
により室内に雨が浸入して雨漏りが発生するケース。

修理事例を解説する方が分かりやすいと思いますが、
その前に応急処置であるシーリング処理について触れておきます。

透湿防水シートと胴縁の納まり 

1)シーリング処理

雨漏りの発生で表面のサイディング目地に
「シーリング(コーキング)処理をして治してほしい!」と
お客様から要望がありますが、上記の説明(二次防水の説明)から壁内部の
二次防水や防水テープ(窓廻り)の不具合を修理する必要がある事を理解されたと思います。

もちろん、
表面のサイディングをシーリング処理をすれば一時的に
壁内部(二次防水)に雨水が浸入しなければ雨漏りが起きる心配はありませんが、
逆をいえばシーリングが破断し不具合箇所に雨水が到達すると雨漏りが再発します。

この事を お客様に説明すると
「何年ぐらいシーリングが持ちますか?」と
聞かれますが、正直な話、回答に困ってしまいます。 

なぜならシーリング性能もそうですが建物の揺れや劣化等により
シーリングに負荷がかかる事で寿命が変わり、一概に5年持ちますとか
10年持ちますなどの予想は困難な話しで、誤解を生む回答は避けたいところです。

2)窓廻りの修理事例

雨漏り調査の結果から、
2階窓廻りのひび割れ(クラック)が
浸入口になり1階の和室に浸出していることが分かりました。

壁のひび割れ(クラック)
写真:2階の窓廻りひび割れ

ひび割れをシーリング処理すれば取り合えず
雨水の浸入は軽減できるとは思いますが、根本的な
解決にならない事が、工事過程を見れば理解できると思います。

 
写真1:透湿防水シートのシミ跡 

上の写真は
一次防水であるサイディングを撤去したところ
透湿防水シート(白)に雨水の痕跡(茶色のシミ・カビ)があり、
あきらかに窓廻りのクラック(ひび割れ)位置からシミ跡が確認できます。

サッシ廻りの雨漏り

透湿防水シートおよび胴縁を撤去すると
サッシフィン(サッシのツバ部分)の下端に施工時にできたと
考えられるがあり、これでは基本的にまともな防水テープの施工はできません。

なので、穴をシーリングで補修し
防水テープを施工ができるようにしました。

防水テープ

さらに、今回は窓横の柱と耐力壁に
防水テープで雨水の浸入を防ぐための工夫を施す。

耐力壁より柱が外に出ている事は雨仕舞的に
褒めれるものではありませんが、躯体そのもの
変更は お客様の負担を考えると現実的な話しではありません。

もちろん、そこまでしなくても
現状の修理で、雨仕舞には問題が無いことが前提です。

サイディング壁の内部構造

新しい透湿防水シート(二次防水)および
胴縁を施工して通気層を確保すれば雨水は1階の水切りより排出されます。

数年程度でシーリングが破断することを
想定した場合、なんどもシーリングの打ち替えの
ために足場を仮設することは結果的に高額な工事になり

さらに、シーリングの破断で雨漏りを繰り返すと躯体の
腐朽が進みサイディングを張り替えるどころの話では無くなります。

2.サッシ枠の不具合

IMG_4102 IMG_4023 
防水パッキンの入っている位置(赤丸)                

1)防水パッキン(シール材)の不具合

サッシ枠の接合部(赤丸)には防水パッキン(シール材)がサッシ接合部内部に
入っていますがパッキンが劣化すると接合部から雨水が浸入し、雨漏りの原因になります。

軽減措置として接合部にシーリングを施工する
方法もありますが根本的な解決はサッシ枠の交換が必要ですが、
サッシ周囲の二次防水等を傷つけずに施工する慎重な技術が必要とされます。

また、ガラス回り(障子)のパッキンの劣化により、サッシの
気密性が損なわれた場合も同様に、雨水浸入を許してしまう事があります。

 

2)サッシ枠の組み立て時に起こる不具合

以前はサッシ屋さんがパーツごとのサッシ枠を組み立て
現場に搬入していた時期がありましたが、現在はメーカーで組み立てた物
現場に直送する事が増えており、組み立て時の不具合は減少する傾向にあります。

サッシ枠からの雨漏りは
以上の事が主な原因になっていますが、雨漏りを
解決するには浸入口を確認した上で修理範囲を決める必要があり
「おそらくこれが原因だろう!」などの曖昧な判断で修理を施工しない事が必要です。

 

3)施工事例

施工事例-1

長年、分からなかった
雨漏りですが検証の結果、
サッシ枠
そのものに不具合が判明しサッシ入れ替え工事をしたお話です。

簡単にサッシの入れ替えといってもモルタル壁の場合、
 その周りの防水紙まで差し替える必要があり、正直、リスクが高い工事になります。

IMG_1247 IMG_1249

 なぜなら、
既存の二次防水(フェルト)を傷つける恐れがあり
場合によっては新たな雨漏りの原因になるからです。

さらに、
モルタル壁(左官工事)の場合、二次防水を新たに
差し込む切り口を補修し、塗装で仕上げたとしても既存モルタルと
新設モルタルでは切り口でなじまず、処理箇所が破断しやすい状態になります。

IMG_1282

なので、
単純にサッシを入れ替えるといっても非常に高いリスクと技術を要求
され、私の場合は職人のそばで つきっきりで工事管理を行う状態になります。

どんなに職人にうるさいといわれても、
嫌な顔をされても、サッシを入れ替える時は帰りません。・・・(笑

安心して長く住むには、
デザイン性を後回しにしてでも雨漏りを止め、なおかつ、
長持ちをさせる事に重点をおくのならば、モルタル壁の上に新たに
二次防水を施工し、サイディングカバー工法を施工することが お勧めです。

IMG_1196 サイディングカバー工法

Before                       After:部分のサイディングカバー工法

既存の壁よりサイディングの厚みが30mm程度
外に出ることから出来るだけ違和感が無いように仕上げる必要があります。
(サイディングの種類を選定)

余談ですが
今回の事例はサッシの不具合だけでなく、以前、壁を切り込み
雨漏り修理(リホーム業者)をした事で、新たな雨漏りの原因を作ってしまった
事が分かり、迷うことなくサイディングのカバー工法を採用した経緯があります。

 

施工事例-2

雨漏り修理をを行う住宅に職人さんを連れて下見にいきました。
修理をするには出窓(サッシ)の交換が必要なためですが、現在の形状と
30年前では違いがあり無理のない収まりと雨仕舞を考えるための打ち合わせです。

 IMG_2111

「施工に慣れているでしょ」と
いわれますが、十人十色と同じく建物の不具合は
似ているようで一軒ずつ違い、毎回、納め方に苦労をします。

たとえば工事本番で、既存サッシを取り外して
収まりが悪く「その日には取り付けれない。」では
防犯の観点から用心が悪く、出来るだけ1日で取り付けまで済ませたい

なおかつ、新設サッシで雨仕舞が
有効になるように知恵を絞る必要があり、なかなか一筋縄ではいきません。
新築を建てる立派な会社が雨漏りになると、成果が上がらない理由がこのあたりにあります。

IMG_2342

さて修理の問題点ですが、上の写真の
赤矢印の位置ですが出窓(サッシ)下端の垂れ壁の方がサッシより
外部に出て壁の先端が水を受ける状態になっている事を検証で確認しました。

IMG_2345

垂れ壁を撤去すと他の内部木部より、水が廻り
黒くなっている事を撤去することで目視で不具合が明らかになります。

出窓下端の垂れ壁は
室内では収納スペースになっています。

ただし、雨仕舞から考えると収納スペースが邪魔なの
ですが・・・お客様の意向は「収納スーペースを残したい。」とのこと。

IMG_2368
写真:赤矢印が収納スペース

さらに、
収納スペース(外部の垂れ壁部)より
大きな出窓の規格が無く形状も30年前とは
随分違うので、現状で雨仕舞を考えるには かなり無理がありました。

本当は「収納スペースをあきらめてください。」と
言いたいところですが、なんとか知恵を絞って出窓サッシから
通常のサッシ窓に変更して、収納スペースを確保する工事を提案をしました。

出窓と違い側面のガラス窓は
壁になる事から、室内の明かりの取入れは少し低くなりますが、

この施工方法により、
外部サッシ枠を垂れ壁(内部 収納スペース)より外に出す
ことが出来、なおかつ、雨仕舞の良い外壁を形成できる事ができました。

 

話のまとめ

  1. サッシ枠(本体)かサッシ廻りなのか、必ず調査による原因を確認すること。
  2. 安易にシーリングによる軽減措置(応急処置)は、トータル金額や躯体の損傷が進行する可能性をよく考えること。
  3. サッシの入れ替えは単純ではなく、漏れのリスクが高い工事である。
  4. デザイン的な希望より、長く住める修理を前提に工事業者と打合せを重ねること。

後、決して費用や
話しやすい雰囲気だけで工事を決めない事が大事です。

雨漏りと思っていたのが実は結露と判明
修理業者と後々、大きなトラブルに発展する事例もあり、
的を射た対処ができ 信頼できることが依頼するポイントです。

決して面倒だから・・・とか、
費用がかかりそうだからと放置をしないこと。・・(笑

長くなりましたが、
修繕の知識(情報)として私の話は、お役に立てたでしょうか・・・

以上を持って
サッシの雨漏りについての話しを終わります。