降り懸魚(くだりげぎょ)

去年の台風被害により色々な
現場で、まだまだ工事に時間がかかりそうです。

なんでも、大阪全体の屋根工事は
2020年まで復旧にかかるだろうといわれています。
私も去年の台風でようやく着手できる現場を掛け持ちしています。

15年ほど前に寺の本堂を
塗装(天王寺区)した破風に装飾されている
降り懸魚(くだりげぎょ)が破損したことで塗装にうかがいました。

舌を噛みそうな装飾の名前ですが
なんでも建物を火災から守る魚や水の意味があるそうです。

降り懸魚 
白木部分:懸魚(げぎょ)          

懸魚に彫刻されているハート型が面白いですねと尋ねると、
ハート型は猪の目の意味だそうで、正確には猪の目懸魚と呼ぶそうです。
正直、私には屋根の装飾(懸魚)が魚にも猪にも見えないけど・・・

まぁ、・・・いいか。(^^)

ちなみに木部(懸魚)を塗ると、
数年で剥離するというのが一般的な塗装の認識です。

どれだけ高級な樹脂であろうが、
回数を多く塗ろうが、剥離する結果になると言われてますが・・・

だいじょうぶ。(^^)

メンテは必要ですが
剥離しないように着色して納めています

「ほんまに・・・?」と、
疑い深い方のために、あえて説明をすると・・・

降り懸魚の上に施工されている破風は私が15年前に塗装
していますが、剥離していないことで信用してもらえるでしょうか。
今回も同じ技法で塗装しているので、それなりの年数は大丈夫だと思います。(^^)

木部の塗装(降り懸魚)

豆知識として
少し社寺塗装の考えに触れておきますが、木材が
最初に傷みだすのは雨水が透過する切り口や彫刻された部分になります。

なので、垂木の木口を塗っているのは
化粧ではなく、木材の痛みを保護することが、そもそもの目的です。

ただし、色とりどりに装飾される絵柄は彩色といい
彩色専門の職人さんが手がける事から、塗装とは別のジャンルです。

木の切り口
白い部分が切り口(木口)

この職人の知恵が私の根底になる塗装論
なりますが、この話は数年後に本堂を塗り替える予定に
なったので・・・その時に熱く~語りたいと思います。(^^)

東大阪での屋根の葺き替え

天王寺区生玉町の屋根(お寺)に関わる
現場を後にして、東大阪の屋根の葺き替え工事に移動。

さて、この東大阪の現場
以前、壁の雨漏り修理をしているお客様からの依頼です。
台風が通り過ぎた数時間後にA様とお隣のK様から電話をいただき、
「屋根の瓦が飛んで、雨漏りしているから何とかしてほしい」とのこと。

「壁は雨漏り修理以降は問題が無く、今回の台風でもびくともしなかった。」
「なので坂元さん以外に頼む気は無い!」と、力強く電話越しで宣言されました。

もちろん、いぜん仕事をさせていただいているので
断る気もないが、話の運びが上手いといか・・・やはり歳の子です。・・(笑

壁の雨漏り修理 壁の修理
2015年の壁の雨漏り修理写真

2015年の壁の修理は
長年、雨漏りを放置していたが家が隣と連棟(家と家がつながっている)なので
自分の家だけでなく隣の家まで漏れ出した事がきっかけで、修理をすることになりました。

なんでも、A様(奥様)が言うには
漏れているのは主人の寝床なので別に雨漏りしてもよいと思ったが、
しかし、隣のK様には迷惑はかけれないと、修理する動機を説明され・・・

つづけて・・・

どちらにしても主人より
私(奥様)のほうが長生きするのでしっかりと治して欲しいとのこと。

隣でご主人が唖然とされていたが
A様(奥様)は気にせず契約を交わされました。・・・ (笑

直球というより
剛速球を投げ込む大阪マダム、ご主人より強しです!(^^)

さて、このような流れがあり連絡をいただきましたが、
すぐには工事にかかれない事を了解いただき、2月工事になりました。

屋根応急処置 
屋根:ブルーシートによる応急処置

屋根は瓦を葺き替えるのではでなく
立平(ガルバリウム鋼板)に施工を変更。
まずは、瓦と土の撤去作業になります。・・・ほんと土を下ろすのは大変。
そのうえ、冬場なので風も強く土は空中に舞うし、近所の洗濯物にも気を遣います。

瓦の撤去

ここから屋根下地の施工
垂木を並べて野地板(構造用合板)を施します。

築40年も経った下地は劣化が進みビスがまともに効かない
可能性や、立平と瓦では屋根形状が少し変わることも下地を作り原寸を
取ることも理由にあげられます。

屋根下地 野地板施工

毎回の話ですが屋根であろうと
壁であろうと撤去するときが一番、緊張する瞬間です。

躯体が何らかの理由で
腐朽しているなど、無視できない不具合に出会いそうで・・・

まぁ、それは雨漏り現場の話なので
今回のような普通の屋根の葺き替えでは遭遇する確率はかなり低い。

むしろ撤去してる最中に突然の降雨に見舞われる可能性のほうが
はるかに確立が高いかもしれないが、たぶん、職業的なトラウマかも。・・・

ルーフィング(二次防水)

さて、ルーフィング(二次防水)まで処理を終わらすと
基本的に一安心だが、屋根の材質を変えたことで原寸を
この時点で測る必要があり、下地を終えた この時点で発注します。

すると以前は2日ほどで届いてた屋根材が
今は2週間ほどかかるとか・・・どうやら発注量が
全国的に多いため、メーカーの生産が追い付かないようです。
(ここまで施工すれば取り合えず雨が降っても問題は無い)

お客様には施工前から了解は得てるものの・・・
何か月も待たせた上に さらに待ってもらうのは気が引けるが

どうしようもない・・・

「はよせんと支払い分、使ってまうで~」と、
なかなかの牽制球・・・いや、消える魔球が飛んできたのか?・・・(笑

何はともあれ
二度のご指名、一日でも早く終わらせてあげたい。・・・消える前に。・・(^^:)