今日は少しまじめな話で投稿します。
皆様もご存じだと思いますが、アメリカとイランの戦争によってホルムズ海峡が事実上封鎖されています。遠い国や地域の出来事だと思っていたら、塗料用シンナー、トルエン等が値上がり…。
なぜ、ホルムズ海峡が封鎖するとこのようなことになるのか?
石油(原油)、シンナー、ナフサの関係
私たちが普段「石油」と呼んでいるものは、地中から採掘した原油を精製することで、ガソリン・灯油・軽油・重油などさまざまな製品に分けられます。その精製過程で取り出される成分のひとつがナフサです。
ナフサはそのままでは使い道が少ないため、さらに化学処理を加えることでトルエン・キシレン・ミネラルスピリットといった有機溶剤に変えられます。これらを用途に合わせて配合・調整したものが、現場で使うシンナーです。
「石油(原油)→ 精製 → ナフサ → 化学処理 → シンナー」という精製過程なので、石油(原油)がなければ、ナフサが生成されずシンナーが作られません。
日本の石油(原油)とナフサも輸入の割合
日本は、石油もナフサも輸入の割合が非常に高いです。
石油は、中東依存度は2025年に約94%に達しており、ホルムズ海峡を経由した石油輸入量は9割にのぼります。また、ナフサは約4割を国内で生産し、約4割超を中東から輸入、残る2割をその他の地域から輸入しています。
このように、ホルムズ海峡が封鎖してしまうと、石油9割、ナフサ4割が入ってこない状況になります。そのため、今起きているようなシンナー不足に繋がります。
建築現場では色々なところでシンナーが使われる
最近は水性塗料が主流になってきていますが、施工箇所や材料によりシンナーを使います。塗料の希釈などなど。
実際の各メーカーからの通知
以下の画像は、3月19日に日本ペイントから届いたシンナー類75%値上げの通知です。

以下の画像は、アイカ工業から届いたシンナー各種の注文一時停止の通知です。

このように、ホルムズ海峡の事実上封鎖の影響がまずシンナー類に出ました。
その後、ユニットバスも納期の回答ができないとのことに…

建築現場では、お客様と契約しているが「商品が届かないため、工事を先延ばしするしか方法が無い」などなど、顔面蒼白状態です。
各メーカーからの発表まとめ
4月16日:日本ペイント 塗料本体10〜20%・シンナー15〜25%追加値上げ
4月14日:アステックペイント 受注残1,000件超・受注一時停止の可能性を警告
4月14日:オート化学工業 全製品のリードタイム延長
4月13日:エスケー化研 溶剤下塗り・錆止め 受注停止
4月13日:TOTO システムバス・ユニットバス・トイレユニット全シリーズ 新規受注停止
4月13日:日新工業 防水材料全般 出荷停止
4月13日:関西ペイント シンナー類 出荷統制・50%以上値上げ実施中
4月07日:エスケー化研 水性塗料を含む全塗料の値上げ発表(5月11日出荷分〜)
3月25日:ロックペイント シンナー類 出荷量制限・価格30%以上値上げ
3月19日:日本ペイント シンナー類 75%値上げ
では、本当に石油やナフサが入ってこないのでしょうか?
私が色々と調べたところ、日本の石油の備蓄は254日分から230日程度に減っただけです。というのも、政府はホルムズ海峡を通らないアメリカ産石油の輸入を3倍から4倍程度に増やし、紅海ルート(インドのタンカーと契約)で石油を確保しているようです。
また、ナフサは国内生産4割、中東から4割、その他2割ですが、オーストラリアで日本が開発している天然ガスの副産物として代替えナフサ(コンデンデート)が1日に10万バーレル程度、確保できるようです。
では、なぜ建築現場では実際にシンナー等が手に入らないのか…
1.パニック買い
ユニットバスが値上がりするであろうと踏んだマンション建設の多くの会社が「値上がりする前に確保すべき」と、1年先の受注分まで一斉に大量発注をかけた事で塗料の供給不足(ユニットバスに使用する)に陥ったようです。
その不安は住宅メーカー、塗装店、防水店といった中小の専門店も同じことで、集中した受注は当然、原料も製造も追いつかない(不足)ことになります。
2.他の国のナフサ不足の影響
日本は、塗装・防水工事で使う石油製品を全て国内で製造している訳ではありません。海外での生産に頼っている商品は、その国の石油・ナフサの備蓄に余裕がない国も多く、そのような国からの輸入品については今回のナフサ不足の影響を受けやすい状況にあります。
3.マスコミ等の報道
少し前にマスコミの報道により、6月にはナフサが枯渇するとの報道がありましたが、首相がXで報道を誤情報として否定しました。誤情報が広がると更なる混乱が広がるため、異例ともいえる発信です。
また、旭化成や他の民間会社からも「物の調達は当面問題が無い」と発信しており、民間の会社の意見を聞いても政府の話しが正しいだろうと判断できます。

今後、どのようになるのか?
今後、どのようになるのか?については、現段階ではまだわかりません。現在は、シンナーもシーリング材、マスカーなども手に入りにくい、または大幅な値上げになっています。
ただ、色々なことが絡まって目詰まりを起こしている流通は、経産省が動き目詰まりを調整してくれるようです。実際、ユニットバスのメーカーが出荷停止になりましたが、>経産省が調整を行いユニットバスの出荷ができるようになったようです。

このサイトでは、しばらくの間、最新の情報がわかり次第掲載していこうと思います。


















