ウレタン塗料の特徴と価格、代表的な商品
1990年代頃は外壁にウレタン塗装を施工する事が一般的でしたが、その後、シリコン樹脂がお客様に提案できる金額で流通するようになったため、現在ではシリコン樹脂もしくはそれ以上の樹脂が主流となっています。
このページでは、ウレタン塗料について分かりやすく解説したいと思います。
目次
ウレタン塗料はどんな塗料なのか?
外壁塗装で使用するウレタン塗料は、ポリウレタンとアクリルウレタンの2つがあり、現在はアクリルウレタンが主流になっています。
アクリルウレタンとは、簡単に説明するとアクリル樹脂の中にウレタンが配合されている塗料のことです。鉄部に使うウレタンについてもアクリルウレタンの溶剤に属します。
ウレタン塗料を塗装するときは使い分けることが大切。ウレタン塗料には、塗料を希釈するときに水を使用するタイプの「水性塗料」と、シンナーを使用するタイプの「溶剤塗料」の2種類あります。
近隣に配慮する場合は水性を使い、鉄部は素地との密着性を考慮して溶剤を使う事になります。
また、塗料の種類は水性・溶剤だけではなく、「1液型」と「2液型」と呼ばれるタイプにも分類されます。
1液型とは、主剤と硬化剤が最初から混合されているタイプで、2液型は主剤と硬化剤を現場で混合するタイプです。アクリルウレタンの場合は、主剤であるアクリルポリオールと硬化剤のポリイソシアネートを混合する事によって塗料として使用できます。
一般的に2液の方が耐久性に優れていると言われていますが、本当に重要な事は1液・2液もしくはアクリル・シリコン・フッ素という括りではありません。
理由については順を追いながら、最後にお話します。
ウレタン塗料の施工単価(m2)はいくらくらいか?
建物の大きさにもよりますが、施工面積が300㎡の場合㎡あたり1,900円~2,200円程になります。どの樹脂にも当てはまる事ですが、下地処理や不具合箇所の補修は上記の単価に含まれていません。
弊社でウレタン塗料を選ばれるお客様の割合
外壁塗装、ピュアアクリル(+ラジカル制御)60%・ウレタン0%・シリコン25%・フッ素10%・光触媒0%・無機塗料5%になります。鉄部や樋塗装、ウレタンOP50%・フッ素OP50%です。
光触媒は以前、光触媒の大元ともいえるTOTOエクセラのハイドロテクト(光触媒)を使用していましたが、光触媒の製造を中止したことから現在は使っていません。p>
こんな場所や建物にオススメする塗料です
オフィスビル等の内部階段廻りの天井や壁の施行にお勧めです。
シリコン・フッ素・無機塗料より材料単価が安価で、紫外線の影響も受けにくい内部であれば、チョーキングなどの経年劣化の心配も必要ありません。
代表的なウレタン塗料
●塗料1
塗料名:関西ペイントメーカー
塗料:コスモレタン
おおよその単価:施工面積が300㎡として1,900円~2,200円/㎡
●塗料1
塗料名:エスケー化研
塗料メーカー:クリーンマイルドウレタン
おおよその単価:施工面積が300㎡として1,900円~2,200円/㎡
ネット上に出回っているウレタン塗料の誤解
ウレタン塗料は、水分と相性が悪く湿度が高いときに塗布すると塗膜性能が落ちると聞いたのですが、本当でしょうか?
正しい方法で施工すれば問題はありません。
ウレタン塗料は、主成分であるイソシアネートとポリオールと呼ばれる物質が反応してウレタン結合し、さらに塗料が湿気に反応することで硬化する性質があります。
ウレタン1液型の場合は、イソシアネートとポリオールがすでに混合されているので、通常通り、塗装後に塗膜が湿気に反応して硬化していきます。
しかし、ウレタン防水溶剤2液の場合は、現場でイソシアネートとポリオールを撹拌させる必要があり、その際にポリオールに湿気が含まれているとイソシアネートが湿気と反応し、塗装前に塗料が固まって粗悪品となってしまう事があります。
ポリオールに湿気が含まれる原因として主に考えられるのは、ポリオール開封後の保管方法に不備があり、ポリオール内のアルコール成分と空気中の湿気が混ざり合ってしまうといったケースです。
ウレタン塗料は、配合成分に強い毒性があると聞いたのですが、本当でしょうか?
ウレタン塗料に含まれるイソシアネートには毒性があり、乾燥させる時に大量に吸い込むと呼吸困難や皮膚に炎症を起こす可能性があります。
家族に喘息などの症状がある場合は、違う樹脂を選択したり、乾燥時は外出しておくなど対策が必要です。毒性は乾燥する時だけで、ウレタン結合が進むと毒性は害の無いものに変化するため、長期的に問題を及ぼすことはありません。
ただ現在、外壁塗装で使用されているウレタン塗料は、アクリルウレタンの水性または弱溶剤が主流なので、基本的には毒性が無く人体に影響はありません。
ウレタン塗料専用のシンナーを使用しなければいけないと聞いたのですが、本当でしょうか?
専用シンナーを使用するかは塗料の種類によって異なり、大まかには水性ならば水、弱溶剤ならば塗料シンナー、強溶剤ならばウレタンシンナーを使用します。
この様に必ず専用シンナーを使う必要はありませんが、メーカーが推奨している専用シンナーがあれば、セットで取り寄せる事が望ましいでしょう。
ウレタン塗料は、柔らかく扱いやすい、硬化した塗膜もヒビ割れしにくいと聞いたのですが、本当でしょうか?
性質的にはゴムのような素材なので、ひび割れにも追随するように思われますが、正直、期待するほどの追随性は確保できません。
また、たとえ膜厚をつけようとしても垂れてきますし、3回塗りで数ミクロン(約0.1mm~0.3mm)程度の厚みしかつきません。
まとめ
ここまで、ウレタン塗料についてお話しました。
一般的には、アクリル→ウレタン→シリコン→フッ素→無機塗料の順で耐候性や耐久性が上がると認識されていますが、「その認識は間違っています」といえば驚くでしょうか? また「他では聞いたことが無い」「むしろ間違っているのは御社の方ではないか」と思う方もいるかもしれません。
ですが、この認識では大きな落とし穴があり、半分正解で半分間違いとなります。理由として、他の塗料も正確に言えばアクリルシリコン・アクリルフッ素・アクリル無機塗料になり、すべてアクリルの中に組み込まれた樹脂に過ぎません。
また、グレードが低いとされているアクリルでも、樹脂や顔料の有機物を劣化させるエネルギーを制御できるラジカル制御型の場合は、シリコンより上、フッ素より下にアクリルが位置付けられます。
これって違和感がありませんか・・・?要するにアクリルの性能と顔料の品質によっては、ウレタンやシリコンより上位品質に変わってしまうのです。
この事実を深堀すると、フッソや無機塗料にもアクリルは含まれているため、たとえ高耐久塗料であっても、塗料に含まれているアクリル樹脂や顔料の質が悪ければ、大した耐候性や耐久性は望めない事になります。