携帯電話を洗濯してしまい、今まで貯めていた
雨漏り画像(バックアップをしていない)が復元できなかった坂元です。(>_<)
今日は寝屋川市で築40年になるコンクリート造の
雨漏り調査のお話をしますが、その前に一般の方が理解しやすい
ように、雨漏り原因になる基本的な知識を先に触れてお話しをします。
1.コンクリートのひび割れ(クラック)
コンクリートは水密性が高いので
雨漏りは発生しにくいと考える方が多いようですが、
それは間違いであり、コンクリートは乾燥による水分の消失で
収縮し、ひび割れが発生します。
この対策法として
水を減らし乾燥ひび割れを抑制できると考えたのが、
単位水量の抑制ですが・・・
ところが、最近になって単位水量以上に
大きな影響を与える原因が浮かび上がってきたそうです。
それは、粗骨材(砂利)の影響。
固くて変形しにくいと考えられていた
粗骨材だが、実はそれ自体が収縮する事が分かってきたとか。
へえ–!!
まさか、砂利が収縮するとはねぇ、
現在は粗骨材 の産地などを詳しく調べて対策を考えているみたいです。(^^)
写真:ひび割れからの浸出 写真:ひび割れにエポキシ樹脂を注入状況
2.ジャンカ・その他
打設不良・ 締め固め不足・セメントと砂利の分離などにより
空隙ができ脆くなっている状態の箇所が出来る事があり、この不具合をジャンカと呼びます。
ジャンカは現場施工中に補修施工(参考写真1)をする事で
わからなくなりますが、コンクリートの水密性を損なうことで
雨水がコンクリート内部に浸入し、鉄筋の錆びや腐食、もしくは雨漏りの原因に繋がります。
補修前 ジャンカ・あばた多数 参考写真1:補修施工後(適切に処理)
その他では、シーリングや開口部であったり、大きな
構造物だとエキスパンションジョイントなど浸出する原因は様々、
頑丈である事と雨漏りしない事は別の話で、いったん浸出をすと原因を探すのは大変な事が多い。
とくに、雨漏りを止めるために
あれこれと補修(他社)をした場合は調査の難易度が格段に上がります。
まぁ、私たち雨漏りのプロから見たコンクリート造の認識はこんな感じです。
3.雨漏り調査
さて、今回の寝屋川の案件も
1Fトイレ天井・1Fリビング天井から雨漏りの具象が確認され、
直上にあるバルコニーを防水(他社)したが雨漏りは止まらない。
具象が確認される条件として、台風などの強風雨を伴う
長雨の時に限る。また、お客様の話では、リビング天井が浸出すときは
2Fバルコニー防水(通気緩衝工法のウレタン防水)の脱気筒の中に雨水が溜まっているとか・・・
コンクリートというだけでも
調査手順が大変なのに、確認するポイントの多さと
脱気筒の中に雨水が溜まる時だけ浸出するという摩訶不思議な現象、
おまけに
お客様が調査費用を値切ろうとしてるやん。・・・
断ろうかなぁ・・・そうだ、断っちまおう!!・・・(心の声)
だが、よくよく聞くと本当に困っている様子。
また、どうにか自分で原因を見つけようと努力した話も聞いた。
でぇ、・・少し値切られたが請ける事にした。・・・(>_<)
調査当日、
予想は的中し、かなりの苦戦を強いられた。たしかに
浸入経路が分かってしまえば、「なんだこれが原因かぁ・・」 などと思えるのだが
見つけるまで、あらゆる仮説をフル回転させ、1つ1つ検証を繰り返す地味な作業になる。
たぶん、ここが本命であろうと考えても
検証には順番があり、闇雲や思い付きで 散水調査を行うと迷路に突入する。
今までの経験からマイルールにそって淡々と作業を進めるのだが、実はこの間に
「検証して浸出しなかったら・・・次はどうする?」などの更なる仮説も考える必要がある。
「たまには難解な雨漏りに当たってみたいなぁ~」などと
冗談をいう事もあるが、実際に当たると・・・ちょとだけ不安になったりもするのだ。
不安を断ち切る方法は一つだけ・・・
最後は採算を度外視してでも
見つければよいことで、覚悟を決めれば怖いものは何も無い。
4.雨漏り調査結果
苦労はしたが2日目の調査で結果がでた。…
バルコニー立ち上がりの
顎と呼ばれる部分に小さな小さな不具合があり、そこが浸入口になっていたのだ。
検証結果は間違いのないものだが、
実に変わった浸出である・・・と、いうのも・・・
浸入口、直下のトイレ天井と浸入口から
約4メートル離れたリビング天井から、ほぼ同時に浸出したわけだが、
通常は直下のトイレ天井から先に浸出し、
4メートル離れたリビング天井は少し時間をおいて浸出することが多い。
この、不自然な浸出を考察すると・・・
スラブもしくは
旧防水層と保護モルタルの間に試験水が滞留し、広がりに限界が達すると
押し出される様にひび割れ(クラック)から浸出するのではないかと推測される。
もちろん、これは私の
手前勝手な推測であって、正しいかどうかは分からない。
ただ、事実として裏付けるには、ベランダの土間(床)を
剥がして確認する必要があり、さすがに、お客様はそこまで望んでいない。
ようするに、浸入口が分かれば改善方法を考え、
雨水の浸入を断ち切れば雨漏りは止まり、問題は解決する。
また、再現しにくいと考えられた
脱気筒内部にも試験水が溜まる事を確認でき、
お客様もすごく喜んでくれた事から、今回の調査は終了。(^^)
少し前に同じ雨漏り110番のメンバーの方に
日増しに難易度の高い雨漏り案件が舞い込んでくるんだけど・・・と、
状況を話したら、「趣味の世界にようこそ!」てぇ、言われてしまった。・・・(笑
実に的を得た表現で、
確かに難易度が高いほど手間がかかる。・・・(>_<)
もしかして、自分で引き込んでいるんだろうか・・・⁇
いやいや~
当分は厄介な雨漏りには当たりたくない。
なんというか・・・そう、お腹いっぱいの気分なのだ。・・・(笑