20年ほど前になるだろうか
当時の自分の感覚では仕事があれば全てが解決するように
思えたが、いざ仕事が増えると・・・さばききれない・・・
確かに、バブルもはじけ
明日の仕事も無い職人が溢れていたが
人を雇うとなると誰でも良い訳では無い。
人間的に芯があり
口にした約束は守る人材が側に欲しかった。
欲を言えば周りに気配りが出来れば最高である。
仕事は二の次とは言わないが
正直、私が教え込めば済む話なので、まずは
人として信頼できる部下が必要だと感じていた時に
知り合いを通じて塗装歴2年の見習工(マサ)を紹介してもらった。
「お金が無いので1週間だけバイトをさせて欲しい」という
要望であったが、見習工(マサ)は私が探していたピッタリの素材であった。
「もう一週間だけ延長してアルバイトにおいでよ!」と、言いつつ・・・
それから10年以上私の元で仕事を手伝ってくれる存在になるのだ。(笑
5年ほど前にマサが独立を果たし
現在では15人程度抱える親方になっている。
今でも覚えているのだが、私の元を巣立つ時
「長い1週間でしたが、ありがとうございました!」
少し笑ってしまうような挨拶ではあるが、どちらかというと
有り難かったのは私であり、感謝を述べるのは私の方だと感じたくらいだ。
今でも時々、一緒に酒を飲む。
「仕事を教えてもらって本当に良かった」
「塗装でどんなジャンルの仕事が来ても怖くない」などと
言ってくれるところが また、うれしい酒になる。(^^)
マサが、親方特有の葛藤を口にする時、私は真面目な顔で
聞いているのだが、内心、わが子が大人になる過程を見ているようで実は面白い。
てぇ、面白いなどと知ったら怒るかもしれないが・・・
まぁ、師匠としての愛・・・という事で許してもらおう。(笑
先日、「坂元さん~塗り替えの仕事を手伝ってください!」と連絡があった。
私・・・「今更、 俺の出番は無いやろう?」
マサ・・「いえ、坂元さんだから頼みたい仕事です。」
私・・・「そんなん・・あるん?」・・・内心、ちょっとうれしい~(^^)
マサ・・「はい、今から画像をラインで送ります。」
・・・〇×△・・・ ???・・・
・・・〇□×・・・ ???・・・〇△□・・・
・・・なんでやねん!・・・ ( ̄- ̄*)
建築塗装と一切関係ない・・・
雨漏り修理でもなければ、エージングの世界でもないやんか・・・
私・・・「いやじゃ~~絶対に嫌!」
マサ・・「またまた~~この手の仕事は好きでしょ♡」・・・(笑
私・・・「無言・・・」
嫌だと言ったのだが、
10年以上の月日を共に過ごした弟子だけの事はあり
師匠の扱い方というか、ツボを実に心得ている。
結局、あれこれ話している間に「うん」と言わされた気がする。・・・(笑
現在は大江戸温泉物語 箕面観光ホテルに置かれているが
元々は別会社で屋根の上に設置され、遠目に鑑賞される獅子を
アイデアとしてホテルの玄関先に持ってきたようだ。
獅子の製作者は
塗装を施す下地としての概念は無く
とにかく獅子に見える事だけに専念した作品である。
なので難しい事ではあるが、
近場で見ても出来るだけ綺麗に見える様に
まともに取れないラインを試行錯誤をしながら
描くのだが・・・
とんでもない色分けの作業量と下地の悪さで1日に何度も心が折れる。・・・(^^:)
さすがに少し気をつかったのか・・・
マサ・・「この仕事が終われば打ち上げをしましょう!」
私・・・「いいね~♡」
飲んでやる・・・浴びる様に・・・
一生分の酒を飲んでやる。・・・Ψ(`▽´)Ψ・・・(笑