外壁タイル下地に原因があった場合の修理方法についてはいつも悩まされます。一番は修理金額が高額になること。だからと言って、コストを落とすためにダメな工事を行っても意味は無い事から、タイルを撤去しようか、それともカバー工法、もしくはクリアー防水で納めようかなど各施工のメリット・デメリットを加味しながら考えさせられます。
タイル壁の雨漏り原因
鉄筋コンクリート造3階建て築30年。3階壁部には以前、コンクリートを貫通させて看板を取り付けてありましたが看板を撤去した上で看板撤去部に新たにコンクリートで壁を作り仕上げにタイルを張って納めたようですが、残念ながら8年後に雨漏り。
なぜそうなるかというと、既存コンクリートと新設コンクリートがなじまずに破断が起きたことで雨水が室内に浸入しました。これはコンクリートの打設工程を分かっているものなら当然、回避出来た雨漏り事例です。
赤のライン部分が以前の看板の位置 矢印が雨漏りの原因になった破断箇所
というのも、コンクリートの施工は1階を作ってから2階を積み上げるように施工していきますが、1階と2階の切れ目にはシーリング(コーキング)で止水を行っています。理由はコンクリートの打設にタイムラグがあると一体化した壁にならない性質がある事から、シーリングによって止水を行います。当然、看板の撤去した部分にコンクリートで壁を新たに作っても既存コンクリートとはなじまずに壁として一体化しません。
修理方法について
次に修理方法についてですが、破断箇所を修理せず壁表面に防水を施工する方法についての私の見解ですが、防水の耐久性は塗膜の厚みがすべてだと考えています。床なら破断防止を含め防水下地にガラスマットを使用し膜厚を均一する使用を組むことも可能ですが、壁に防水材を流し込んだら重力で垂れてくるので限界があります。
赤矢印部はタイルを撤去し内部壁に破断が確認された写真ですが、これほどの破断を抱えながらタイル壁面の防水材のみで10年以上持たせるのは、かなり難しいと考えられます。
タイル壁がALC壁下地の場合のサイディングカバー工法は可能か不可能か?
モルタル壁の場合は金属サイディングのカバー工法は問題ありませんが、ALC壁(軽量気泡コンクリート)は素材が軽くて柔らかく、ぱさぱさの状態なので現状より壁に負荷(下地のビスが効きにくい)を新たに与えて外壁を作ることに疑問があり、強風雨ではビスや釘が緩み剥がれてしまう危険性を考えると、私はカバー工法を推奨する事はありません。
タイルを撤去して修理をする
下地が何であるかによって施工方法も変わりますが、一番は、間違いなくタイルを撤去して下地の不具合を取り除いた上でクリアー防水を施工する事でしょう。過去、何度もこの方法で雨漏り修理をしていますが、ただし、デメリットとしては、かなり高額になる事ですが、最も安心感があり、長く持たせることが可能な修理方法といえます。
良ければご覧ください!