前回の話の続きになりますが、懇親会に天王殿に行ってきました。
場所は、私がまだ塗装をメインにしていたころに、お世話になっていた
一○寺の隣にある料亭です。薄味でしたが、上品な味付けと盛り付けの
華やかさがあり、とても美味しかったです。

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30代の頃から10年近く、一○寺に出入りしていたので、
天王殿がお年寄りのステータス的な店だと知っていましたが、
高級料亭の店構えが、個人的には入りずらかったのです。

なんていうかぁ~大衆的な焼肉だとか、焼き鳥と違って
私が行くには、場違いの様な気になるんですよね。
まぁ、良くいえば大衆的なお店を好む庶民派です。(^^)

 他の懇親会に出席した方たちとは違い、私にとって懐かしい風景であり
思い出の多い地域で、当時、一○寺の工事に入っていた事を
色々と思い出していました。

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本堂の後ろの新築工事では半年間も塗装工事で通った事や
増築した新しい和室の木部を、古い木部に見える様に
色を塗ってほしいと伝えられ、難易度の高さに目まいがした事・・・(笑

 由緒ある、掛け軸の横を塗装する指示を受けましたが
「取り返しがつかないので、絶対に掛け軸を汚すなよ!」と監督に言われ
掛け軸を、外してください!!と、逆に怒った事・・・(笑

昼間は人の流れが多すぎて夜間工事をする事になったが
クリスマスイブの夜に仕事をして・・・
「坂元さん、素敵なクリスマスをありがとう。」と
不機嫌そうに職人に言われ、家に帰りたくなった事・・・(笑

同じ様に夜勤をしていたオジサンを見つけ
ため口で話をしていたら、翌日そのオジサンが
仏像を作る全国でも屈指の偉い先生で、お寺の関係者が、オジサンに
直立不動で頭を下げている姿を見て、顔が真っ青になった事・・・などなど(笑

432236_265936496816580_1216256476_n蟇股塗装

数えだしたら限がないくらい、次から次と頭に思い浮かびます。
当時、私に弟子入りした職人たちも今は立派に独立して頑張っています。

彼らとの交流は現在も続いており、時折 飲みに行くと
「ほんと、坂元さんに仕事を教えてもらって良かったと思う。」
塗装職人として、出来ないジャンルの仕事は無いと、嬉しい事を言ってくれますが
支払いは何故か、昔ながらに私持ちなのは不思議です。・・・┐( ̄ヘ ̄)┌

雨漏りという、ジャンルに 魅力を感じた私が、彼らとは違う
方向に進みましたが、一緒に過ごした時間は、とても充実しており
何物にも替えがたい良い思い出の一つであることは間違いありません。

大きくなることだけを夢見て仕事をした当時の私が、天王殿の深みある
味付けに気が付けたかどうか・・・
もしかしたら、今だから解る大人の味・・・
そんな、思いを巡らす今宵の宴は過ぎていきました。(^^)